コロナウイルス重症度の違い

今日はコロナの重症度のレベルについてお話しします。
実は、コロナの症状には、3つのレベルがあるんです。それは、軽症、中等症、重症の3つです。

どういうときは軽症で、どういうときは重症なのか?その定義を基本的知識として知っておいて損はないので、最後までご覧ください。
それでは、早速はじめていきます。

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1.軽症、中等症、重症の定義

厚生労働省によると、新型コロナウイルス感染に関してつかわれている軽症、中等症、重症、重篤は、大凡、次のように定義されているそうです。

  • 1.軽症:入院の必要がないと判断された感染者
  • 2.中等症:酸素吸入をしないと危ないと判断された感染者
  • 3.重症:集中治療室(ICU)での治療を必要とすると判断された感染者、もしくは人工呼吸器を装着する必要があると判断された感染者

ちなみに「重篤」(この表現は厚生労働省としてはあまり使わない)は命に危険があると判断された感染者となります。

つまり、

  • 軽症=入院せずに、自宅や宿泊施設で療養が可能なレベル
  • 中等症=一般病棟への入院が必要なレベル
  • 重症=ICUでの集中治療が必要なレベル
  • 重篤=生命の危機があるレベル

ということです。
次に、各重症度の特徴についてお話します。

2.各重症度の特徴

1.軽症

軽症の定義は「入院の必要がないと判断された感染者」とされていますが、その特徴は、症状の程度が幅広いということです。

例えば、自分ではとってもしんどいと感じても自分で呼吸がしっかりとできていれば入院が必要ないので、「軽症」と分類されます。
インフルエンザなどで、39℃台の高熱が出てだるくてしょうがなくても自宅療養になるのと、同じですね。

入院が必要ないと判断するのは、帰国者・接触者外来や、入院している病院の医師です。

入院の要否のポイント

入院の要否のポイントとなるのは、「酸素吸入器や人工呼吸器などを使わないと、酸素濃度が保たれない状況かどうか」です。つまり自分で呼吸がしっかりとできていれば、「軽症」と分類されます。

無症状や軽症の感染者は、4月22日の現時点においては、都道府県が用意したホテルなどの宿泊施設での宿泊療養か、状況が整っていれば自宅での療養を行えます。

2.中等症


(イラスト出典:Meditronic.

中等症の定義は「酸素吸入をしないと危ないと判断された感染者」とされていますが、軽症と同じく症状の程度が幅広いです。

こちらの判断ももちろん、医師が行います。

酸素吸入と一言でいっても、主に酸素マスクと鼻カニューラがあります。
その人が「酸素化を維持するために、どれくらいの酸素濃度が必要か」でどちらを使うかがきまります。

  • 酸素の助けが少なくていい→鼻カニューラ
  • 酸素の助けが多く必要→酸素マスク

がそれぞれ選ばれるということです。

中等症の感染者さんは状況により酸素吸入の方法を選択されています。
なので、「軽症」のときと同様、「中等症」といっても様々なレベルがあるということです。

3.重症

重症の定義は、「集中治療室(ICU)での治療を必要とすると判断された感染者、もしくは人工呼吸器を装着する必要があると判断された感染者」です。

まず、集中治療室(ICU)での治療は、24時間、体まるごとモニタリングをしないと危険な状況です。
もう一つの人工呼吸器を装着ですが、自分の力では酸素を吸うことも、二酸化炭素を吐き出すことも難しい状況です。この場合、呼吸の全てを機械に任せることになります。

いずれにしても、重症の感染者さんは、肺炎や全身状態がとにかく悪い状態です。殆どのケースでは、ICUに入って24時間体制での治療が必要なレベルです。

4.重篤

(ECMO画像出典:多摩総合医療センター

ちなみに、よくテレビなどで使われる「重篤」という表現は厚労省によると、あまり使われないということです。一般的に定義するなら「命に危険があると判断された感染者」です。

新型コロナ感染症で重篤という表現が使われる場合の状況として、当てはまるのは「ECMO(体外式膜型人工肺)を必要とされる感染者」です。

ECMOとは、簡単に言うと、人工肺とポンプを使って呼吸と循環の機能を助けてあげる治療法です。

ECMOについて

私も以前大学病院のICUナースだったので、その時に何度かECMOを装着している患者さんをみてきました。

一言で言うと、その管理はとても大変です。
ECMOがついているため、ひとつひとつの作業を神経を使って行う必要があります。
また、医師だけではなく臨床工学技士や、その他のコメディカルの力もめちゃくちゃ必要。チームで診ることが不可欠になります。

しかも、今回の新型コロナウイルスについては、自らの身を守るという感染予防策を行いながらのケアが必要となるので、どれだけ大変かというのは想像に難くありません。

医療崩壊を防ぐには、もちろんECMOなどの高度な医療機器も必要ですが、マンパワーを確保するということが、何よりも大切だと感じています。

まとめ

それでは最後におさらいです。
新型コロナウイルスの重症度判断は次のようになっています。

  • 1.軽症:入院の必要がないと判断された感染者
  • 2.中等症:酸素吸入をしないと危ないと判断された感染者
  • 3.重症:集中治療室(ICU)での治療を必要とすると判断された感染者、もしくは人工呼吸器を装着する必要があると判断された感染者
  • 4.重篤(この表現は厚生労働省としてはあまり使わない):命に危険があると判断された感染者