【感染予防の手洗い】間違えない方法や注意点をQ&Aで解説

今日のテーマは『感染予防のための手洗いポイント Q&Aです!!』です。

この動画を見ていただけると、効果的な手洗いに大切なポイントや手洗いについての疑問が解決できると思うので、最後まで見てもらえたら嬉しいです。

それでは、早速はじめていきます。

正しい手洗いのポイントとタイミング

Q1 手洗いで感染予防はできますか?

A)はい。多くのウイルスに関しては予防ができると思います。

手洗いによる効果は、手洗いの方法や時間で変わってくるという研究発表があります。

  • 手洗いなし:約100,000,000個
  • 流水で15秒手洗い:約10,000個(約1%)
  • ハンドソープで10秒または30秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎ:数百個(約0.01%)
  • ハンドソープで60秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎ:数十個(約0.001%)
  • ハンドソープで10秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎを2回繰り返す:約数個(約0.0001%)

出典:森功次他:感染症学雑誌、80:496-500,2006

流水で洗うだけでも、ウイルスは約1%まで減っています。さらにハンドソープを使用したり、時間をかけたり、回数を多くすると、手についているウイルスの量が明らかに減ることがわかりますね。

Q2 どのくらいの時間、手洗いをしたらよいですか?

A)手を石鹸で洗う際の最適な長さは20秒と言われています。(アメリカ疾患予防管理センターによると)

手洗いのポイントは、

  • 手のひら
  • 指の間
  • 手首
  • 爪の間

を、しっかり擦り合わせたり揉みながら洗うことです。

20秒と言ったら、おそらくふだんの手洗いより長い時間だと思います。
意識しないとなかなか時間をかけるのが難しいので、慣れるまでは、頭の中で『きらきら星』を1曲うたってみては如何でしょうか?ちょうど、20秒くらいになります。

Q3 石鹸をつけることはウイルス感染予防に効果がありますか?

A)はい。石鹸を付けたほうがよりウイルスが減ったという研究結果がでています。

これには石鹸が界面活性剤という機能を持つことが関係しています。
界面活性剤とは、「分子が水に溶けやすい親水性の部位」と「油に溶けやすい親油性の部位」を両方もつ構造を持つ物質のことです。

界面活性剤を水に溶かすと『ミセル』という分子の集合体ができます。このミセルが、ウイルスのRNAを守っている外膜(エンベロープ)を壊して、ウイルスをやっつけてくれるんです。

だから、石けんは今問題の新型ウイルスをはじめ、外膜を持っているようなエンベロープウイルスに対しての感染予防効果が高いんです。

Q4 泡と液体と固形の石鹸、それぞれのメリット・デメリットは?

A)各石鹸の特徴のメリット・デメリットをまとめてみました。

  • メリット:泡立てる必要がないので手軽で便利。液体石鹸を薄めているので、肌への負担が少ない。
  • デメリット:他のものと比べると洗浄力がやや劣る。もともと泡だててあり手軽なので、手洗いの時間が短くなりがち。

  • メリット:液が濃いので、泡より洗浄力は優れている。比較的簡単に泡立てることができる。
  • デメリット:泡立てや洗い流しに泡と比べると時間がかかる。洗浄力が高い分、手荒れを起こしやすい。

固形

  • メリット:3つの中で一番、洗浄力に優れている。コスパが良い。
  • デメリット:3つの中で、泡立てるのに一番時間がかかる。大きさが小さくなると泡立ちが悪くなってくる。不衛生になりがち。

(表面は常に湿っている、細菌のエサとなる。皮膚のタンパク質なども付着していて繁殖するには絶好の居場所。他人と供用する場所で固形石けんを使った場合、石けん表面には前に使った人の皮膚のタンパク質などが残ります。もちろん、水で流しながら固形石けんを泡立てればその「影響」は無くなります。)

水気を切らずに固形石鹸を放置しておくと、泡立ちやすい部分がどんどん溶け出してしまう。
(水に溶けやすく、泡立ちやすい成分と水に溶けにくい成分が混ざってできているため)

それぞれ、どんな人に向いている?

それぞれが、どんな人に向いているかというと、下記のとおりです。

  • 泡:小さい子どもやお年寄りなど、泡立てるのが難しい人
  • 液体:汚れが目立つときや、お料理のときなど、しっかり洗いたいとき
  • 固形:コストをかけたくない人、ひとり暮らしで他の人と共有しない人、石鹸の表面を洗って乾かす管理などができる人

ちなみに、「固形石鹸を水で溶かせば液体石鹸ができるのでは?」とお考えの方もいるかも知れませんが、固形石鹸を水で溶かしても液体石鹸にはなりません。

固形石鹸は「脂肪酸ナトリウム」、液体石鹸は「脂肪酸カリウム」という全く違う成分でできているからですね。

Q5 お湯で洗うのと水で洗うのとでは、差がありますか?

A)差はありません。

水温によって手の衛生にどのような差が出るかを調べる研究で、「手を洗うときは、使用する水の温度は何度でも同じ」という結果がでています。

逆に熱いお湯で洗いすぎると、皮脂が余分にとれて手荒れの原因にもなるので気をつけましょう。

Q6 手洗いとアルコール消毒はどちらがよいですか?

A) 状況やターゲットのバイ キンによっても変わりますが、トータルで考えると手洗いがよいかと思います。

アルコール消毒は、あくまでも消毒なので洗浄効果はありません。なので、目に見える汚れがついているときは手洗いが良いです。

一方、アルコール消毒の方が除菌効果が高いと言われています。目に見える汚れがないときや、
どこでも消毒ができるという手軽さからアルコール消毒も良い点があります。

でも、注意点としては、今話題の新型ウイルスやインフルエンザウイルスなどの、外膜(エンベローブ)をもつウイルスには、アルコール消毒は効き目があります。
でも、エンベローブをもたないノロウイルスには効きにくく、また食中毒を起こすボツリヌス菌やセレウス菌などの芽胞を形成する菌に対して効果がありません。

なので、まずは手洗いをしっかりとして、補助的にアルコールを使うのが個人的には良いと思います。

Q7 殺菌や抗菌と表示のあるハンドソープの方が良いんですか?

A)家庭で日常使いするのハンドソープに殺菌や抗菌効果は不要だと思います。

手洗いは、汚れを落としたり手についているバイキンを除く(除菌)することが目的です。
そして流水による石鹸を使った手洗いによって、1万分の1までウイルスの量は減ることが分かっています。

大切なのは、どんな石鹸を使うかよりは、正しい方法で最低でも20秒程度は手洗いに時間をかけることです。

Q8 手洗い後のエアータオルは使っても大丈夫?

A) エアータオルはできれば使わないほうがベターと思います。

英国リーズ大学で、「ペーパータオルで拭き取ったとき」と「エアータオルで乾かしたとき」を比べて、手についている細菌がどのくらい撒き散らされるか、という研究がされました。

その結果、ペーパータオルで拭きとったときに比べ、エアータオルで乾かしたときの細菌数が圧倒的に多いことが判明しました。

  • 高出力の空気(ジェット・エア)で水滴を飛ばし、乾燥させるタイプ:約27倍
  • 暖かい空気で乾燥させるタイプ:約6倍

の細菌数だったそうです。

つまり、エアータオルは手についている細菌を拡散させる恐れがあるということです。

最近では、駅などの公衆トイレのエアータオルはほぼ使用停止になっていますが、このように手についている細菌を拡散させる恐れがあるからです。

また、菌は水がある場所で繁殖します。エアードライヤーの内部に水が溜まっていたりすると、その水に菌が繁殖している可能性があります。
1日1回掃除されていればほとんど問題はないとも各メーカーから言われています。掃除がしっかりされていれば、その点はあまり気にしなくても良いかもしれません。

ただ、エアータオルだけで完全に乾かそうとすると時間がかかり、風に当てる時間が長いほど、菌が付く可能性も高まります。

というわけで全体的に考えて、できればエアータオルよりもペーパータオルや清潔なハンカチで手を拭くことをオススメします。

Q9 除菌のウェットティッシュは手洗いと同じような効果がある?

A) 表面についている汚れを落とすという目的であればOK。菌を取り除くという意味では効果は不明確。

ウェットテッシュは、目に見える汚れを落とすことはできます。ただ除菌効果に関しては、『なんとも言えない』というのが正直なところです。

なぜなら、ウェットティッシュに記載のある『除菌』の基準は、ウェットティッシュなどを扱う業界団体が決めています。
その基準は、「除菌効果のないものを使ったときと比べて、対象となる硬い表面(手指などの身体部分を含まない)から生きた細菌数をある程度減らすこと」

つまり、机などの硬いものには効果があるけど、手を拭いて菌を減らす効果があるかは不明ということです。

Q10 手が荒れにくい手洗いの方法って?

A) 手荒れ防止のために気をつけるポイントは5つあります。

  1. 洗浄力が強すぎる石鹸を使わない
  2. しっかり泡立てる
  3. 熱すぎるお湯で洗わない
  4. 石鹸が残らないようにしっかりゆすぐ
  5. 手洗い後はしっかりと水分を拭く

それぞれ解説します。

1.洗浄力が強すぎる石鹸を使わない

洗浄力が強ければ強いほど、手の常在菌や皮脂なども一緒に洗い流してしまいます。手が乾燥してしまい、その分手荒れをしやすくなる傾向があります。

殺菌や消毒などの表示があるハンドソープを見ると、何となく安心して使いたくなっちゃいますが、
個人的には、日常の手洗いにそこまでの効果は必要ないと思っています。

石鹸と流水の手洗いで十分効果があるので、肌に刺激の少ないものを選ぶことをオススメします。

2.しっかり泡立てる

しっかり泡立てることで、手洗いによる摩擦が減るので肌への負担がすくなくなります。
また、石鹸泡で手の皮脂にいる菌を包み込むので除菌効果も高まります。

3.熱すぎるお湯で洗わない

暑いお湯は皮脂なども一緒に洗い流してしまうので、手が乾燥して手荒れの原因になります。お湯の温度で手洗いの効果は変わらないので、水か人肌程度のお湯で手を洗いましょう。

4.石鹸が残らないようにしっかりゆすぐ

ゆすぎが不十分だと、石鹸残りによる刺激で手が荒れてしまいます。
流水で、しっかりと石鹸を洗い流しましょう。

5.手洗い後はしっかりと水分を拭く

手洗い後に手をぬれたままにしていると、水分が蒸発する際に皮膚の水分も一緒に失われて乾燥してしまいます。

また、みなさんも経験したことがあると思いますが、濡れたままにして乾いた時、手が冷たくなっていますよね。それは、気化熱で手が冷えてしまうからです。
冷えも血液循環を悪くして手荒れの原因になってしまいます。

まとめ

いかがでしたか?

10問の内容を全て覚えるのは難しいかも知れませんが、今日の動画の中でこれだけは覚えておいてほしいことがあります。
それは、手洗いにとって大切なのは「何を使うかではなく、どう行うか」ということです。

正しい方法で十分な時間をかけて、感染を予防していきましょう。